ご挨拶

平成27年度の始まりに際して

 着任してから3年目に入りました。

 この4月からいよいよ修士課程「死因究明学コース」が始まりました。世界で初めてのコースで、取得学位は修士(公衆衛生学)Master of Public Healthです。昨年度の修士課程入試では科目の英語を外部の試験を課したためか、受験生が激減し、結果として入学者数が10人となりましたが、その中で1名の方が志望して頂いています。コース選択となる7月にはさらに増えていることを願っています。また、大学院科目等履修生高度プログラム「死因診断能力の向上と死因究明の攻究」において履修生を2月に募集させていただいたところ、5名の方が入学されました。内訳は4名が医師、1名が弁護士の方々です。これから始まりますが、この6名の方々の修了後を期待しているところです。

 一方、博士課程にも1名の学生が入学しました。これからの法医学や死因究明学を担っていただくよう研究に邁進していただきます。未だわからないことが死後には多くあります。今、臨床医のあなたも是非私どもの教室に来て私たちと一緒に未知なることの解明を目指し研究致しませんか。たとえば突然死例についても出生後から高齢者まで生じます。各年代について何が原因なのかを検討しなければなりません。出生前後における胎内環境から外部環境の変化、ここで起こる分子レベルのepigeneticな動態。幼児期から学童期に至る免疫能とその変化。思春期における二次成長と骨格の変化。青年期における成熟。中高年期における体内環境の変化などなどです。これら一見しては目に見えない変化を理解して可視化するとともに未知なるものへと探索して予防に結び付けなければなりません。たとえば、alcohol 研究がなぜ続きそして解決していないのかもアルコール飲料の主たる成分であるethanolの分子量46に隠されています。教室員の皆さんは、大阪大学の最先端資源を活用しながら一歩一歩明らかにして行きましょう。このページをご覧いただいた方には、不幸な死を防ぐべく日夜邁進して参りますので、ご期待いただければ幸いです。

 最後に、教育は柱です。私を越え、教室員を越えることで、若き人はより新しい知識と技能を持って死因究明学を担うことができます。自ら持つ能力を若き人にいかに伝えるかについても研鑽を積むとともに、医学部学生に教授して参りましょう。

平成26年1月

平成25年5月

趣味は野球と水泳。野球のポジションは投手でその面白さを札幌医大時代に野球部学生と院生(共に現在整形外科医)に教わりはまる。11種類の変化球を投げられるまで成長した。阪大に異動後は職員野球部に入るとともに医学部野球部の監督を務めているが、どちらも練習と試合に出られないのが悩み。水泳はオールラウンダで、いずれは世界マスターズで…と妄想を持つ。SUDOKUと自己満の詩作は飛行機移動中にて。